農業×太陽光発電のシェアリングには「農地転用」が必須

「みらいのはたけ」プロジェクトは、農地の上に太陽光発電用のパネルをつけて、畑の管理などに使う電力を自然エネルギーで賄おうという、新しいシェアリングのシステムです。現在、宮崎県の新富町で実証実験を行っているところで、これから他の地域にも広げていく予定です。

プロジェクトを進める第一歩は、シェアリングするための土地探しから始まります。実はこの土地探しが一筋縄ではいきません。今回は土地利用に関する法律について、西田行政書士事務所の西田雄一さんに教えてもらいました。西田さんは福岡県飯塚市で2002年に開業し、20年にわたり官公署に提出する許認可等の申請に関わってきたベテランの行政書士です。

そもそも土地には種類があるとご存じですか?

「日本においては、田・畑・宅地・山林・牧場・公園・公衆用道路など、全部で23種類の地目があります」と西田さんは説明します。そのうち、みらいのはたけプロジェクトで利用するのは「農地」(田・畑)です。ただし、農地に太陽光発電用の設備を設置する場合は、農地転用という手続きが必要となります。

「1952年に制定された農地法において、農地の売買・賃借と、他の目的で使うための転用は制限されています。戦後すぐに制定された法律ですから、農家の権利を守るとともに、国民に安定して食糧を供給していくという狙いがあり、所有者が自分で農業を続けてくださいというのが大原則なのです。ただし、農地を転用する許可を受ければ、他の用途に利用することもできます。市町村に置かれた農業委員会が窓口の制度で、内容によっては都道府県知事からの許可が必要です。

私の事務所では、これまで数多く農地転用の案件に関わってきました。同じような条件であっても市町村の農業委員会によって細かい見解が異なったりして、なかなか難しい制度だなという思います。多くの書類を作成したり、農地の近隣の方への説明も必要です。役所とも事前に協議をするなど、ひとつひとつ、丁寧に進めていく必要があります。」(西田さん)

このように農地法には複雑な規制がある中で、行政書士という専門家の力を借りなければ簡単に進みません。みらいのはたけプロジェクトでは、福岡県内でもシェアリングができる土地を探していました。次回は、苦労した土地探しの顛末をご紹介します。

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