植え付け作業

耕作放棄地での農業の難しさ

農作物の栽培と、電気の発電を同時に行う新しい農業スタイルの「ソーラーシェアリング」。本プロジェクトでは昨年4月に第1弾としてブロッコリー、5月に第2弾としてきゅうり、なす、ピーマンなどの夏野菜を栽培していました。しかしその中にはうまく育つことができなかった作物も。そこで今回は、本プロジェクトの営農担当の石川さんに、農業が失敗した原因と今後の対策方法をお話しいただきました。

営農を始める前は、ソーラーパネルの設置により日照時間が短縮され、作物の成長を妨げることを最も懸念していたという石川さん。しかし今回の農業で、生育に必要な日照量は確保できていたためその不安は払拭されたそうです。農業の失敗は日照時間ではなく、ある2つのことに原因があったと石川さんは話します。

「まず1つ目は、苗を植えるタイミングです。野菜は適期に植えることがとても重要で、少しでも時期がずれると枯れたり実がつかなかったりする可能性があります。今回は、どの作物も全体的に適期から少し遅れて苗を植えたため、うまく育てることができませんでした。 2つ目は、テストサイトの土壌です。農作物の成長には養分のバランスがとれた土壌が必須。しかしこのテストサイトは元々耕作放棄地だった土地を利用しているため、窒素不足・リン酸過多と、養分が偏り痩せ細った土壌となっています。今後は、農業を行う上でバランスの良い土壌作りを心掛けていこうと思います。また土壌を整えるだけではなく、土壌に適した作物を育てていきたいです」(石川さん)

結果的に、どの農作物も成功とは言えなかった今回の営農。しかし石川さんは、この失敗はマイナスなことだけではないと感じているそうです。

「そもそも耕作放棄地で農業すること自体が、かなり大きな挑戦です。耕作放棄地は農業に適していない土地であることが多く、加えて長年誰も管理しないので養分の偏った土壌になります。結果、土壌のバランスを整えることや、土地に合った作物を栽培することはより難しくなり、安定して農作物を栽培できる土地にするには、2~3年かかることも。そのため今回の結果は、次に繋がる貴重なデータになると考えています」(石川さん)

どんな経験も前向きに捉えて次のステップへ繋げようとしている石川さん。
次回は今後の農業に向けた対策と、現在計画中の新たな農業の形についてお話ししていきます。

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