不動産の調査・測量・登記を行う専門家と連携

農地の上に太陽光発電用のパネルを設置して、自然の恵みである太陽の光を「農業」と「発電」の2つでシェアする「みらいのはたけ」プロジェクト。グッドデザイン賞を受賞し、これから各地で展開していくつもりです。

このプロジェクトのコアメンバーには、太陽光発電、農業、建築、不動産、ソーシャルビジネスなどの専門家がそろっています
さらに、他の分野のプロフェッショナルたちの力も借りなければ、なかなか前に進めません。そのうちの一人が「土地家屋調査士」(とちかおくちょうさし)という専門家です。一般の方にとってはあまり聞いたことのない仕事かもしれませんが、不動産に関する国家資格で、とても高い専門性を有しています。

今回は土地の利用に関する手続きについて、福岡県飯塚市の土地家屋調査士事務所代表・西野幸彦さんに教えてもらいました。西野さんは飯塚市出身で、30年にわたって土地家屋調査の仕事に携わってこられました。

そもそも「土地家屋調査士」とは、どんな仕事でしょうか。
「不動産の表示に関する登記の専門家です。土地や建物は、誰のものか分かりにくいため、法務局に登記することで権利が守られています。土地家屋調査士は、土地や不動産がどこに存在して、どんな形でどのくらいの大きさで、どのような用途で使われているのかといったことを調査・測量して図面を作成し、登記の申請手続きなどを代行します」(西野さん)

一般的な依頼内容としては、マイホームを建てるために購入した土地がどこまで自分のものか明確にする「土地の測量・調査」、農地に家を建てるときの「土地地目変更登記」、マイホームを建てるときの「建物表題登記」などがあるそうです。

では、みらいのはたけプロジェクトでは、どんな業務をお願いすることになるのでしょうか。
「シェアリングをするためには土地を購入、もしくは借りて、そこに太陽光の設備を設置したり、まわりにフェンスを立てたりします。土地の登記簿には所在と地番、地目(土地の用途)、面積、所有者などが記録されていますが、その土地が正確にどこからどこまでのどんな形の土地なのかは載っていません。そこで、土地家屋調査士が現場で調査や測量を行い、隣接土地の所有者などにも確認を取って図面を作り、登記を申請します。この業務には専門知識や道具などが必要なので、私たちにご依頼いただくことになります」(西野さん)

不動産の表示に関する登記をサポートしてくれる土地家屋調査士。これから新たな土地でプロジェクトを展開するときには、実際にどうやって業務を進めるのか、その実態をレポートしたいと思います。

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