「みらいのはたけ」プロジェクトに参加している、「みらい畑株式会社」代表の石川美里さん。3年前、右も左も分からないまま、宮崎県の新富町で農業を始めました。現在同社では、「みらいに恥じない地球環境を残す集団になる」をビジョンに掲げ、環境負荷の少ない農業に取り組んでいます。今回はそんな石川さんに、農業への思いをお話しいただきました。
「実は農業も環境に悪影響を与えているのです」
温室効果ガスの産出源別割合でみると、全体の産業の約2割にもなります。例えば、作物に適した時期以外に栽培し、高く売るための「ハウス栽培」では加温によりCo2を排出しています。また、単位面積あたりの収穫量をあげるために、農薬を散布し、化学肥料を使用することにより土壌と水質も汚してます。近年、有機栽培など環境への負荷が少ない農業に取り組む農家が増えてきましたが、ほとんどが今でも農薬や化学肥料を使用した環境へ悪影響を及ぼす農業を行わざるを得ないとのこと。その根本的な理由は、消費者の考え方にあると石川さんは言います。
「有機野菜を販売しても価格が高いため、実際に購入する消費者は少ないのが現状です。その結果、多くの農家が環境負荷が高い栽培方法を選択してしまっています。流通を変えるのが最も効果的ですが、それを変えるのはかなり難しいと思います」(石川さん)
そこで流通の次に環境面での影響を減らせる”生産”に注目し、有機農業を実践している石川さん。しかし結果が出るまでには莫大な時間がかかる上、「自分達ができることには限界がある」と理想と現実のギャップに悩んでいたそうです。ちょうどその時、本プロジェクト発起人の濱さんから話を持ちかけられました。
「お話を聞いたときに、社会課題の解決はもちろん、農家の方の収入も確保できる画期的なアイデアだと感じましたね。自分の目的とも一致したので、プロジェクトに参加することを決めました」(同)
メリットが多い一方、ソーラーパネルを畑の上に設置することで、日照時間が短縮され、作物の成長に影響が出ることも考えられるソーラーシェアリング。この懸念点について、石川さんは次のように話します。
「設置しているソーラーパネルは面積がそれほど広くなく、日の光も十分当たるので、植物の成長に影響が出ることはほとんどありません。現在、実証実験としてブロッコリーを実証サイトに植えているのですが、しっかりと根づいて成長してきています。この取り組みを成功させて、多くの農家の方が使えるような仕組み作りをしていけたらと思います」
今は、テストサイトで育てている作物を収穫するのが楽しみです。その結果次第で稲作にもチャレンジする計画です。