地元流通材を使い、地場産業にも貢献する太陽光架台を開発

2021年5月「みらいのはたけ」プロジェクトは、木製架台の太陽光発電システムを宮崎県新富町のテストサイトに取り付けました。架台の設計を手がけた一級建築士の佐藤寛之さんに、完成までの道のりやこだわったポイントを聞きました。

佐藤さんがプロジェクトに参画した経緯については、「日本の風景を変える!? 心に火がついた建築家・佐藤さん」でご紹介しました。「木で太陽光発電の架台を作る」というプロジェクトの思いや背景に共感した佐藤さん。しかし、「じゃあ、言われる通りに木で作りますね」という感覚で設計しないのが佐藤さんのスタイルです。
「僕の物づくりのポリシーとして、単にものができればいい、おしゃれに見えればいいという考えはありません。木を使うことで社会的にどんな意義があるか、どうすれば木の魅力が引き立つか…そこから考えて解きほぐしていかなければ、手が動かないんです」(佐藤さん)

濱さんと宮下さんと一緒に、千葉のソーラーシェアリングの現場へ出かけて話を聞いたり、架台を設置する宮崎のテストサイトを見に行ったり、国内外の海外の事例を調べたりしながら、率直に議論を重ね、いくつも設計案を出してブラッシュアップしていきました。そして最初の打ち合わせからおよそ10か月かけて、木製架台の太陽光発電システムが誕生しました。

「今の日本では、中国や国内大手メーカーが安価なアルミで作った太陽光発電設備が主流になっています。収益性や効率を優先し、知らない土地で誰かが作った無機質な設備が広がっています。一方で、私たちは一般に流通している木材を使い、地元の木材メーカーと木材加工メーカー、大工さんと協業することで、地産地消型の木製架台システムを開発しました。流通材を使うことで、どの地域でも再現できて、地場産業に貢献できます。流通材を組み合わせた柱で見た目の美しさを追求し、製造工程におけるCO2排出量も低減しました」(佐藤さん)

試行錯誤の末に完成した木製架台の太陽光発電システムを、現在は宮崎県の新富町に設置して実証実験を行っています。
「初めてのトライで小さな課題も見えてきましたが、やはり木製架台には大きな意義や可能性があると実感しました。これからも社会に対してメッセージを発信しながら、設計を改良していきますので、共感し応援してくださる方が増えるとうれしいです」と佐藤さん。ぜひ一度、見にきていただきたいとのことでした。

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